興味津々 時代の移ろい見つめる目
左目、なのだ。見得を切る歌舞伎役者の。
謎の浮世絵師・東洲斎写楽が描いた「市川鰕蔵の竹村定之進」をモチーフに、故・佐藤晃一さんがデザインした。
江戸・東京を鮮やかに、意外な角度から想起させるアイデアに「おお、さすが天才、と思いましたよ」と、当時アシスタントを務めていた深谷則夫さんは振り返る。
江戸東京博物館は江戸と東京の町と暮らしを、模型や復元展示を駆使して紹介する。
小林淳一副館長は「子や孫に『自分が子どもの頃はこんなだった』と話し、コミュニケーションが生まれる館です」と話す。
目のデザインは、そんな来館者の好奇心や驚きも表現する。
「佐藤さんは普遍性を希求する人でした」と深谷さん。「『縄文時代の人が見ても宇宙人が見ても、これがいいと思うかね、深谷くん』と、いつも本気で聞かれるんですよ」
江戸から現代への視線のようにもみえる目。
過去を現在、未来へつなげる館の原点と重なる。
◆江戸東京博物館 東京都墨田区横網1の4の1(問い合わせは03・3626・9974)。午前9時半~午後5時半(入館は30分前まで)。原則(月)(祝・休の場合は翌日)休み。