線の重なり 浮かんだ「U、本、ビル」
浦和駅近く、ホテルが入る高層ビルにあるさいたま市立のうらわ美術館は、「地域ゆかりの作家」とともに「本をめぐるアート」が収集品の柱だ。
いくつもの長方形を遠近法で見るようなロゴマークは、うらわの「U」、本、都会的なビルのイメージの重なりだ。「自由にガチャガチャ線で遊んでいたら、本やビルが見えてきた」とデザイナーの大溝裕さん。
ロゴマークを制作する際には、使用時の色や大きさ、マークと文字の比率など条件を細かく決める場合もあるが、大溝さんは柔軟に変えて構わないと話す。館の多様な活動に合わせパターンを変えて使われていく中で認知され浸透していく、と考えるからだ。依頼主と対話を重ね、作品を作り上げるプロセスを何より楽しむ。互いの熱が伝わり合うといい作品が生まれる、とも。
2000年の開館に向けて準備にあたった学芸員の山田志麻子さんは、大溝さんと当時何度も意見を交わした。「館の方針をよく理解し、広報活動についても提案してくれた。今やロゴは館のアイデンティティー。それさえあればわかる署名のようです」
◆うらわ美術館 さいたま市浦和区仲町2の5の1(問い合わせは048・827・3215)。午前10時~午後5時(金土は8時まで。展示室への入場は30分前まで)。原則(月)休み。11月17日まで臨時休館中。