太陽と太郎のエネルギー ここにも
赤い絵柄の中心に、どこかで見た顔……と思ったら、大阪・万博公園に立つ「太陽の塔」にそっくりだ。
作者の岡本太郎(1911~96)は、人類に無償のエネルギーを与えてくれる存在として、繰り返し太陽を表現した。四方八方に炎を噴き上げながらグッとにらみ付けるような表情は、まるで太郎本人のようだ、と学芸員の大杉浩司さん。
このロゴマークは、川崎市岡本太郎美術館が99年に開館した時、太郎の養女敏子さんが館の顔として選び寄贈した。大杉さんは「太陽を題材にした数ある作品の中から、単色で使える、使いやすいものを選んでくれたのではないか」と話す。
母かの子の実家があり、自身も生を受けた川崎市に愛着を感じていた太郎。市内での展覧会を契機に、約1800点以上の作品を市に寄贈した。「太郎の作品にはパブリックなものも多い。本人も作品が広く世間の目に触れてほしいと望んだのでは」と大杉さん。太郎のエネルギーを多くの人と共有できる美術館でありたい、と語った。
◆川崎市岡本太郎美術館 川崎市多摩区枡形7の1の5(問い合わせは044・900・9898)。午前9時半~午後5時(入館は30分前まで)。祝日を除く(月)、土日を除く祝日の翌日、年末年始休み。