超現実の世界 自由な心遊ばせて
2020年にビルの超高層フロアから新築の専用棟に移転、館名も改めたSOMPO美術館。14年から使っている人の形のシンボルマークは、東郷青児の油彩画「超現実派の散歩」(1929年)から人物像を切り出したものだ。東郷は1976年の開館にかかわり、多くの作品が収蔵されている。
「超現実派の散歩」は優美な女性像で知られる東郷が、パリ留学から帰国後の数年間だけ描いた、数少ないシュールレアリスム風の作品だ。常識的なものの見方から解放された自由な心がテーマ。広報の杉本典子さんは「美術がもたらす心の自由を大切にしたい」というメッセージを込めていると説明する。親しみやすく、線画にしやすい点も決め手だった。
昨年の移転・改名にあたりシンボルマークも再検討された。が、開館時の「東郷青児美術館」以来館名にあった東郷の名が外れることもあり、存在を残したいと従来のデザインを引き継いだ。中島隆太館長によると、シンボルマークのピンバッジをつけているとよく声を掛けられ、会話のきっかけになるという。
◆SOMPO美術館 東京都新宿区西新宿1の26の1。午前10時~午後6時(入館は30分前まで)。原則(月)、展示替え期間と年末年始休み。問い合わせは050・5541・8600