100年の森の中 輝く太陽と月
2020年の明治神宮鎮座100年を記念して開館した明治神宮ミュージアム。シンボルマークや展示グラフィックスなどを、デザイナーの原研哉さんが担当した。
マークのモチーフは「明」の文字。原さんは「日」=太陽と「月」の組み合わせに「大きなイメージの鉱脈がある」と感じた。その背景には、創建時に全国から献上され植樹された約10万本の木が、100年の歳月を経て育った神宮の森がある。「深い杜(もり)に立つ鮮烈な『明』を意識しました」
四角の中にポツンと配置した円形は、人が展示物と向き合う空間にも呼応。幾何学的図形ではなく手で描かれた名残として、線には揺らぎを持たせた。日欧表記の館名は、日本語が美しく見える縦書きと欧文の横書きの対比により、絶妙な空間バランスが生まれている。形象が際立つ色を選択、屋外マークは透明板に白色とした。
シンボルとは作り手が意味を込めすぎるものではなく、触れる人々に多様なイマジネーションをわき立たせる装置だと原さんは考える。「様々な見立てや解釈を生み出し、それを受容できる容量の大きな『空』であることが大事だと思っています」
◆明治神宮ミュージアム 東京都渋谷区代々木神園町1の1(問い合わせは03・3379・5875)。午前10時~午後4時半(入館は30分前まで)。(祝)を除く(木)休み。