古代アッシリアの聖なる木
古代メソポタミア、エジプト、ペルシャなどの歴史・文化資料を発掘、収集、展示する古代オリエント博物館。ロゴマークのモチーフは、古代アッシリア美術に見られる「聖なる木」だ。幹と葉の周りに松笠のような果実が七つ配置されている。
一時オリエント全域を統一したアッシリアの宮殿から出土した浮き彫り彫刻には、帝王や精霊像とともに聖樹を表現したものがみられる。聖樹が何の木なのか確証はないが、現在も西アジアで広く栽培されるナツメヤシという説が有力だ。暑熱を遮る木陰を作り、木材資源として、果実(デーツ)は滋養豊富な食料としても利用される。
1986年にロゴマークが作られた当時は公式の書簡用紙のレターヘッドとしてだった。研究員の下釜和也さん(42)によると、メソポタミアの円筒印章の麦、ペルシャの土器に描かれたヤギ文様などいくつかの候補から選ばれ、当時在籍した研究員がデザインしたという。開催中のコレクション展ではマークのモチーフとなった聖樹が見られる「線刻画のある石製容器片」が、展示されている。
◆古代オリエント博物館 東京都豊島区東池袋3の1の4、サンシャインシティ文化会館ビル7階(問い合わせは03・3989・3491)。午前10時~午後4時半(入館は30分前まで)