存続の危機超え再出発の「柱」
鶴岡八幡宮境内の、池にせり出すような白い建物。2019年に開館した鎌倉文華館? 鶴岡ミュージアムは、1951年から65年間「鎌近(かまきん)」として親しまれた旧神奈川県立近代美術館 鎌倉を鶴岡八幡宮が譲り受けた。
ル・コルビュジエに師事した坂倉準三(1901~69)が設計した建築は戦後モダニズム建築の傑作といわれる。美術館閉館にあたり一時は存続が危ぶまれたが、保存を求める声が寄せられ、新たな形で活用することになった。
グラフィックデザイナーの高橋歩さんがデザインしたマークのモチーフは、そんな建築の最も特徴的なピロティの柱。近くに住んでいた時期もあり、学生時代から展覧会もよく訪れたという親しみのある館のシンボルを、池に立つ柱と同心円状に広がる水紋で表した。上部の反転した部分は、せり出した天井に映る水面の様子だ。
美術展や文化イベント会場のほか鎌倉の文化や歴史を発信する場に生まれ変わった同館。「伝承」と「未来」をつなぐ柱もイメージされている。
◆鎌倉文華館 鶴岡ミュージアム 神奈川県鎌倉市雪ノ下2の1の53(問い合わせは0467・55・9030)。午前10時~午後4時半(入館は30分前まで)。原則(月)休み。