ノコギリ形の稜線 地域のシンボルに
東京湾フェリー金谷港から徒歩3分の鋸山美術館。2019年に「金谷美術館」から、背後にそびえる山の名をとって改名する際にロゴマークも一新した。
制作したアートディレクターの笠井慎吾さんは「フェリーから見ると、近づいてくる鋸山に圧倒される。この感動を伝えたいと思った」という。
1980年代まで「房州石」を切り出した鋸山(329メートル)は、ノコギリの歯のような稜線と、びょうぶのように削られた岩肌が特徴だ。館が中心となった地元のアートイベントにも参加していた笠井さんは、鋸山の歴史も熟知。デッサンを繰り返した末、極限まで簡素化した表現を目ざした。
金谷や鋸山の周辺は古くから景勝地として知られ、夏目漱石、東山魁夷ら文化人も訪れた。館は「石と芸術のまち」がテーマの町おこしの中で2010年にオープン。コンクリート壁の一部は、房州石で飾られている。館長の鈴木裕士さんは、ロゴマークが館だけでなく地域全体の象徴にもなったと話した。
◆鋸山美術館 千葉県富津市金谷2146の1(問い合わせは0439・69・8111)。午前10時~午後5時(入館は30分前まで)。原則(火)、展示替え期間、年末年始休み。