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はじまりの美術館

はじまりの美術館

誰でも自由に表現を ここから

 ポンと押したハンコのようなシンボルマーク。赤い文字で「ART」と読み取れるが、それは「START」の一部でもある。

 磐梯山と猪苗代湖を間近に臨む「はじまりの美術館」は、福島県で知的障害児者らの支援に約50年間取り組む社会福祉法人安積愛育園が運営し、現代アートや「アール・ブリュット」の作品を展示する。「アール・ブリュット(生の芸術)」とは、障害者を含む、美術の専門教育を受けていない人による自由な美術表現を指すとされている。

 愛育園の施設では創作活動が盛んだった。作品が仏の公募展で高く評価されるなどして美術館構想が持ち上がり、2014年6月に古い酒蔵を改修して開館した。

 シンボルマーク制作に携わったのはwebデザインなどを手がける大和田雄樹さん。「障害の有無に関わらず、誰もが表現できるはじまりの場所という意味を込めました」と語る。赤い色は鶴ケ城の赤瓦、会津漆器、郷土玩具の赤べこなど、館のある会津地域を象徴する。

 シンボルマークは、今年度の中学1年生の美術教科書(日本文教出版)に掲載されている。

 ◆はじまりの美術館 福島県猪苗代町新町4873(問い合わせは0242・62・3454)。午前10時~午後6時。(火)[(祝)の場合は次の平日]、年末年始・展示入れ替え期間休み。

(2021年5月25日、朝日新聞マリオン欄掲載記事から。記事・画像の無断転載・複製を禁じます。商品価格、営業時間など、すべての情報は掲載時点のものです。ご利用の際は改めてご確認ください)