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ちひろ美術館・東京

子どもたちの姿を見守る瞳

 絵本画家いわさきちひろ(1918~74)没後の77年、自宅兼アトリエ跡地に開館した絵本専門美術館。国内外の絵本画家の作品約2万7500点を収蔵する。97年、姉妹館「安曇野ちひろ美術館」(長野県)のオープンに際し、共通のシンボルマークが制作された。

 上下に二分された円の間で、そっと支えられているような小さな円。ちひろの描く人物画の特徴でもある瞳がモチーフになっている。デザインを手がけたグラフィックデザイナー・佐藤卓さんは「真ん中の小さな円は、瞳に映った子どもたちの姿。それは、ちひろさんが優しく見守る子どもたちの姿そのものです」と語る。青春時代に戦争を経験したちひろは生涯、子どもたちの平和と幸せを願ってやまなかった。

 基調となる青は、安曇野の澄んだ空と水を思い起こさせる。小さな円の左右の余白は、子どもたちが外の世界とつながっていることを表現したという。外の世界で思いっきり遊んで、安心して帰って来られる場所。「子どもたちにとって、当館がそんな存在でありたい」と主任学芸員の原島恵さんは話す。

 ◆ちひろ美術館・東京 東京都練馬区下石神井4の7の2(問い合わせは03・3995・0612)。当面の間[前]10時~[後]4時(入館は30分前まで)。原則[月]休み。1千円。

(2021年6月8日、朝日新聞マリオン欄掲載記事から。記事・画像の無断転載・複製を禁じます。商品価格、営業時間など、すべての情報は掲載時点のものです。ご利用の際は改めてご確認ください)