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弥彦駅(新潟県、JR弥彦線)

村を見守り次の100年へ

弥彦駅(新潟県、JR弥彦線)
初もうで客や観光客でにぎわう弥彦駅=1月2日、新潟県弥彦村
弥彦駅(新潟県、JR弥彦線) 地図

 古くから「おやひこさま」の愛称で親しまれる越後一宮、弥彦神社。大みそかと三が日は20万人以上が訪れた。その弥彦神社がある、弥彦村の玄関口としてにぎわってきた弥彦駅は、今年開業100周年を迎える。

 駅ができたのは、1912(明治45)年の大火から社殿が復興した16(大正5)年10月。越後鉄道の支線・参宮線として、西吉田(現吉田)駅~弥彦駅間が開通した。木造の入り母屋造りの駅舎で、弥彦神社を模している。

 「めずらしい駅舎だと、皆さんよく記念撮影されます」と話すのは、観光駅長を務める弥彦観光協会の小林千恵さん(27)。駅の外観は、開業翌年の建設時とほぼ変わらない。2013年に改装されたが、軸組みは、補修部分以外は当時の部材を残す。木製の柵が立つ改札口もレトロだ。神社の意匠や鳥居の色に塗装を合わせ、ホームの駅名板を電照式から木製に変えるなど、周辺との一体感や和の雰囲気を意識した工夫もある。

 村は門前町、温泉地として発展してきたが、観光客は減少気味だ。80年代に30軒近くあった宿泊施設は現在12軒。駅前の旅館・櫻家(さくらや)の川上憲太郎さん(45)は、村の若者らと今後についてよく語り合う。弥彦の良さを生かした、駅から神社までの観光ルートが作れないかと考えている。「100年の節目の今こそやらないと」。観光の村は、新たに動き出そうとしている。

文 小寺美保子撮影 横関一浩 

 沿線ぶらり  

 JR弥彦線は東三条駅(新潟県三条市)と弥彦駅(弥彦村)を結ぶ17.4キロ。

 佐渡島を見渡す弥彦山のふもとに位置する弥彦神社は、万葉集にも登場する古社で、本殿など25件が国登録有形文化財。弥彦駅から徒歩約15分。登山でも人気の弥彦山は、9合目まで弥彦山ロープウェイが運行する。往復1400円、11歳以下700円(TEL0256・94・4141)。1838年創業の弥彦酒造(TEL94・3100)は、弥彦山の伏流水で酒造りを行う。「こしのはくせつ 梅酒」(720ミリリットル、1944円)が、昨年の全国梅酒品評会で金賞を受賞した。

 

興味津々
鬼瓦

 弥彦駅の屋根を飾る鬼瓦には、愛らしいウサギの姿があしらわれている=写真。ウサギは村のシンボル。参道の土産物屋では、ウサギの形をした名物の落雁(らくがん)「玉兎(たまうさぎ)」を販売する。和三盆や餡(あん)入りなど種類も豊富。上品な甘さで軽やかな口溶けだ。

(2016年1月5日、朝日新聞マリオン欄掲載記事から。記事・画像の無断転載・複製を禁じます。商品価格、営業時間など、すべての情報は掲載時点のものです。ご利用の際は改めてご確認ください)