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両国駅(東京都、JR総武線)

臨時ホームの階段がひな壇に

ひな人形は、赤いじゅうたんの上に縦3セットが横2列に計6セット並んでいる=東京都墨田区横網1丁目
ひな人形は、赤いじゅうたんの上に縦3セットが横2列に計6セット並んでいる=東京都墨田区横網1丁目
ひな人形は、赤いじゅうたんの上に縦3セットが横2列に計6セット並んでいる=東京都墨田区横網1丁目 地図

 臨時列車発着用の3番線ホーム。今月4日、そのホームへ上がる階段に華やかなひな人形が登場した。

 人形は2009年、千葉県勝浦市で毎年開催されている「かつうらビッグひな祭り」の主催者から譲り受けた。この時期、勝浦に向けて特急が仕立てられ、そのPRも兼ねる。「普段は使われていないホームで何かできないか、当時の駅員たちが考えました」と庄司由信駅長(56)。年々規模が大きくなり、今年は駅員8人が2時間かけて飾り付けた。6セット90体が階段17段を埋め尽くす。色鮮やかな装束に身を包んだ男びなと女びな、三人官女に五人ばやし。今にも春の宴が聞こえてきそうだ。

 飾り付けられたばかりのひな人形を見て、「うちのおひな様より大きいね」と母親が5歳の娘に話しかけていた。乗り換えで立ち寄った60代女性は「こんな立派なひな壇が見られるなんて」とスマートフォンで写真を撮った。今では早春の風物詩となり「今年もやりますか」と問い合わせが入ることもあるという。

 駅は1904年、旧総武鉄道が本所(現在の錦糸町)から延伸し、始発駅・両国橋駅として誕生した。戦後も千葉方面への玄関口としてにぎわったが、72年に旧国鉄の総武線が東京駅まで乗り入れるようになると、次第にターミナル駅としての存在感が薄れていった。

 最近は両国国技館や周辺の古い街並みを見に訪れる観光客が目立つ。「昔ながらのいいものが残る街」と庄司駅長。両国の雰囲気に似合うひな人形は、3月6日まで展示されている。

文 永井美帆撮影 谷本結利 

 沿線ぶらり  

 JR総武線各駅停車は、千葉駅(千葉市)と御茶ノ水駅(東京都千代田区)を結ぶ38.7キロ。

 駅西口からすぐの両国国技館1階には相撲博物館(TEL03・3622・0366)があり、錦絵や番付、化粧まわしなどの資料を展示している。

 JR東日本では、東京駅または大宮駅―勝浦駅間で臨時特急かつうらひな祭り号を運行(2月27日(土)、28日(日)、3月5日(土)、6日(日))。問い合わせはびゅう予約センター(0570・04・8928)。「かつうらビッグひな祭り」は2月26日(金)~3月6日まで千葉県勝浦市で開催。市内各所に3万体のひな人形が飾られる。

 

興味津々
焼き鳥

 両国国技館の地下に焼き鳥工場がある。鳥は「手をつかない」ため、力士の縁起物として親しまれてきた。焼き鳥は本場所中に館内で販売するほか、JR東京駅、新宿駅などでも買える。650円。問い合わせは国技館サービス(03・3625・2111)。

(2016年2月23日、朝日新聞マリオン欄掲載記事から。記事・画像の無断転載・複製を禁じます。商品価格、営業時間など、すべての情報は掲載時点のものです。ご利用の際は改めてご確認ください)