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石川町駅(神奈川県、JR根岸線)

乙女の味方が見守る朝

通学ラッシュが始まった。「スクールサポーター」の腕章を着けた鎌田さんが目を光らせる
通学ラッシュが始まった。「スクールサポーター」の腕章を着けた鎌田さんが目を光らせる
通学ラッシュが始まった。「スクールサポーター」の腕章を着けた鎌田さんが目を光らせる 地図

 朝7時すぎ、鎌田浩司さん(67)は駅に立つ。神奈川県警伊勢佐木署の「スクールサポーター」だ。駅周辺には伝統を誇る私立女子校が4校。「乙女駅」と呼ばれるほど利用する女子中高生が多い。

 41年間勤めた県警では主に鑑識畑を歩んできた。いなくなった子どもを警察犬を使って捜索するなど県内の学校とかかわった経験から、退職後の2009年、学校と警察を橋渡しするスクールサポーターに就いた。非常勤職員だが、ほぼ毎朝、地域の通学路を見守り続けている。「捜査権はないし地味な仕事だけど、現役引退後の生きがいです」。警察組織の一員としてではなく、鎌田さん個人に対してお礼を言われることがなによりうれしいという。

 「鎌田さんは強力な味方です」と中村明子駅長(48)。2年前にJR東日本では県内初の女性駅長に就任して以来、のぼりや看板を設置したり、警察官による勉強会に参加したりと女子生徒を狙った迷惑行為防止に取り組んできた。「北口に中華街、南口に元町と、駅は横浜観光の玄関口でもあります。安全・安心を基盤に地域との交流が生まれるんです」

 電車がホームに滑り込むたびに、制服姿の乙女たちが改札に続く階段を埋め尽くす。その踊り場の窓に今月中旬、クリスマス飾りのステンドグラスが取り付けられる。鎌田さんが毎年文化祭を見回っている横浜女学院の生徒たちの手作りだそうだ。

文 曽根牧子撮影 馬田広亘 

沿線ぶらり

 JR根岸線は、横浜駅と大船駅(神奈川県鎌倉市)を結ぶ22.1キロ。電車は京浜東北線と一体で運行される。

 日本初の洋式競馬場跡地である根岸森林公園は、山手駅から徒歩15分。隣接する根岸競馬記念公苑内の馬の博物館(TEL045・662・7581)は、人と馬の歴史や文化を紹介。毎月第3(日)は乗馬デー。(月)休み。要入館料。

 横浜には1972年まで市電が走っていた。根岸駅からバスで7分、親子連れに人気の横浜市電保存館(TEL045・754・8505)は、路面電車6両と貨物電車を展示する。(月)休み。100円。

 

 興味津々
南口改札に飾られている花
 

 南口の改札に飾られている花は、横浜女学院の美化委員が生けている。1964年の開業時から続いており、2010年に「鉄道の日」の功労者表彰を国から受けた。12月中は観光振興団体がクリスマスツリーを飾る。

(2014年12月2日、朝日新聞マリオン欄掲載記事から。記事・画像の無断転載・複製を禁じます。商品価格、営業時間など、すべての情報は掲載時点のものです。ご利用の際は改めてご確認ください)