多くの参拝者や観光客でにぎわう鎌倉。大仏や長谷寺をはじめとする、鎌倉時代ゆかりの地巡りが定番ですが、「鎌倉武士」に扮して、より鎌倉を堪能する・・・そんな楽しみ方もあります。
取材・文/佐藤直子
写真/小笠原浩二
弁慶だって、忍者だって
武士体験ができるのは、鎌倉のシンボルでもある大仏から徒歩10分にある梓想庵(しそうあん)。弓道歴18年の有本大輔さん(30)が、弓と共に鎌倉の文化に親しんでもらえればと2年前にスタートした。鎌倉市の補助事業の認定も受け、体験者はこれまでに2500人にのぼる。
源義経や弁慶をはじめ、静御前や北条政子、忍者など、平安~室町時代の17種約50着の装束が用意されている。
20〜30代女性が多く訪れるが、彼女たちの人気は、女性らしい華やかな着物よりも鎌倉武士の装束だ。ある歴女グループでは、全員が武士を選び、変身した途端に寸劇を始めたこともあったという。カップルで義経と静御前になることもあるとか。
当地にちなんで鎌倉武士を選んだ。直垂(ひたたれ)という衣装には赤、青、紫、緑などがあり、赤を選択、はかまに足を通す。烏帽子(えぼし)をかぶり、大小様々に用意された刀から特に大ぶりのものを選んだ。鏡には正装した「武士」がいたが、刀を振りかざしてみるも、格好よくは決まらない。
史跡の力? 表情キリリ
装束姿のまま、すぐ近くの史跡「大仏切通(きりどおし)」を歩いた。鎌倉時代に山を切り崩して作られた道で、鎌倉七口のひとつに数えられる。あたりの空気は澄み、緑の中に光のカーテンがゆらめいていた。
「自然と一体化して違和感ないですね」。通りがかった女性に声をかけられた。有本さんによると「ここに立つとみなさん表情が凜とする」のだそうだ。確かに先ほどよりも装束が体になじんでいる気がする。
和弓と竹矢を使った弓体験もした。「弓籠手(ゆごて)」という防具を装着し鎌倉時代のスタイルで行う。3メートルほど先の「悪」と書かれた的に狙いを定めて矢を放つと、見事に命中。古都鎌倉で武士を堪能した。
次回は源義経になってみよう。
梓想庵 午前9時~午後5時半(要予約、受付は午後4時まで)、日曜定休。 体験料金/じっくり体験(120分、5500円~)、鎌倉時代にちなんだ装束を着るかまくら体験(40分、6500円~)など。※弓体験や双六は別途料金。 問い合わせは(0467・39・6412)。 http://www.shisouan.com |
大仏グミ・湘南グミ
鎌倉大仏近くにある「駄菓子や鎌倉長谷店」で購入可。大仏の形と江ノ電の形をしたグミ(各4個)。おみくじ付きで、味は青リンゴ、ソーダ、コーラの3種。
【DATA】
神奈川県鎌倉市長谷2の14の20。不定休。
問い合わせは0467・22・6499。