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ほうとう不動 東恋路店(山梨県富士河口湖町)

富士山を背景に 「和」の新風を

午前11時~午後8時。平日午後4時以降に来店する際は閉店時間の確認を(問い合わせは0555・72・8511)
午前11時~午後8時。平日午後4時以降に来店する際は閉店時間の確認を(問い合わせは0555・72・8511)
午前11時~午後8時。平日午後4時以降に来店する際は閉店時間の確認を(問い合わせは0555・72・8511) 雨どいがないため外周に砂利をまき、雨水を受け止めている

富士山にかかる雲が地上に降りてきたみたい。絵画のような風景に、思わずため息が漏れる。これは一体何?

 国道沿いに現れる、大きく白く丸っこいもの。正体は観光客や地元の人が立ち寄る郷土料理店だ。

 富士山が間近に見える景色そのものが「和風」ではないか--設計者の保坂猛さん(45)は、ほうとう不動の当時の社長・古屋昇さん(74)から「和」をイメージした新店舗の設計を依頼された際、こう考えたという。提案したのが、富士山を背景に一枚の絵のように収まるデザインだった。

 「雲のようなふわっとした」形にするため、柱や梁がない。地震の際の安全性を保証するため、刻々と変化する揺れや建物の反応を想定し、通常は超高層ビルに用いる高度な構造計算を行った。

 ツルツルした外壁は、鉄筋コンクリートを断熱材で覆った上にガラス繊維で強度を高めたセメント材で仕上げてある。曲面とするため型紙に合わせて鉄筋を曲げ、型枠のパーツを作製。現場で組み立て、コンクリートを流し込んだ。

 店内にエアコンはない。自然通風を楽しんで快適に過ごせるよう、風の通り道や日の当たり方などをシミュレーションした。6センチと通常の倍近い厚さの断熱材を施し、時には零下10度まで下がる冬も、局所的な暖房でしのぐ。

 あまりの斬新さに当初はためらったという現社長の古屋昇栄さん(44)は、「チャレンジだったが、SNSを通じて店舗の写真が広がり大成功でした」と喜ぶ。「和」の新風が、富士山とともに世界中に拡散している。

(高田倫子)

 DATA

  設計:保坂猛建築都市設計事務所MOUNT FUJI ARCHITECTS STUDIO

  階数:地上1階
  用途:店舗
  完成:2009年12月

 《最寄り》 河口湖駅から車


建モノがたり

 徒歩3分弱のハーブ庭園旅日記 富士河口湖庭園(問い合わせは0555・83・3715)は、約200種類のハーブと四季折々の花を楽しめる。園内ショップではハーブを使った化粧品などを販売、ハーブティーも楽しめる。午前9時~午後6時(入園は30分前まで)。

ほうとう不動 ホームページ

http://www.houtou-fudou.jp/

(2020年12月1日、朝日新聞マリオン欄掲載記事から。記事・画像の無断転載・複製を禁じます。商品価格、営業時間など、すべての情報は掲載時点のものです。ご利用の際は改めてご確認ください)