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仙川キユーポート(東京都調布市)

会合300回 グループ社員の声反映

1階には見学施設「マヨテラス」や保育所がある。入り口の警備員詰め所は卵の形=斉藤由夏撮影
1階には見学施設「マヨテラス」や保育所がある。入り口の警備員詰め所は卵の形=斉藤由夏撮影
1階には見学施設「マヨテラス」や保育所がある。入り口の警備員詰め所は卵の形=斉藤由夏撮影 「aima」の一つにはボルダリング設備も

新宿から約20分、京王線沿いに現れる建物。全体を覆う網目模様はどこかで見たような……。

 マヨネーズのキユーピーをはじめグループ17事業所のオフィスと研究所が入る仙川キユーポート。「格子をいつ赤く塗るのか、建設中の現場でよく聞かれました」と設計した日建設計の佐藤健さん(53)は振り返る。

 鉄の板とコンクリートの素材から成るひし形の格子は、六角柱の建物を支える免震構造を担っている。外側で荷重を支える分、1フロア約6千平方メートルの室内は壁や柱が少なくてすみ、広く視界が開けた空間になった。

 目指したのは、グループ各社間のコミュニケーションを活発にするオフィス。研究室階と執務室階を交互に重ねる「ミルフィーユ構造」は行き来をしやすくする工夫だ。

 会議室は減らし、通路脇や窓際などにベンチやテーブルを置いてオープンな打ち合わせスペースを設けた。5階を占める食堂も昼時以外は仕事に使える。

 各階に3カ所、執務スペースの接点にある三角形の共用コーナーは名付けて「aima(あいま)」。新聞や雑誌の閲覧、郵便業務などの作業場であり、リフレッシュの場でもある。試作用キッチンとダイニングも3カ所ある。

 設計にあたっては各社の若手・中堅社員らからアイデアや意見を集めた。さらに代表者を交えた会合を週2~3回、約3年間で計300回ほど開き、日々の業務や会議の状況、ロッカーの使い方まで現場の声の把握に努めた。

 社員がオフィス環境に積極的に関わる文化は完成後も変わらず、時折訪れるという佐藤さんは「使い勝手に応じて変化があり、ビルが生きているのがうれしい」。

 ちなみに通路を1周すると約3分、社名を冠した料理番組名と一致する。六角形のフロアは現在地がわかりにくいこともあり、「1分」「2分」「3分」エリアと名づけ、表示板を色分けしている。

(斉藤由夏)

 DATA

  設計:日建設計
  階数:地下1階、地上5階
  用途:オフィス、研究所、見学施設、保育所
  完成:2014年

 《最寄り駅》 仙川


建モノがたり

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(2022年3月15日、朝日新聞マリオン欄掲載記事から。記事・画像の無断転載・複製を禁じます。商品価格、営業時間など、すべての情報は掲載時点のものです。ご利用の際は改めてご確認ください)