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ICOR NISEKO(イコ ニセコ)(北海道ニセコ町)

超細長 自然の「ポケット」楽しむ

国道側からの外観。スキンケア商品の販売以外に、ドリンクやサンドイッチなどを提供する。午前10時~午後5時。(水)、年末年始休み
国道側からの外観。スキンケア商品の販売以外に、ドリンクやサンドイッチなどを提供する。午前10時~午後5時。(水)、年末年始休み
国道側からの外観。スキンケア商品の販売以外に、ドリンクやサンドイッチなどを提供する。午前10時~午後5時。(水)、年末年始休み 右の小川側に開けた屋外のテラス席。テーブルは置かず、ステージ(風景)を客席から見る感じにした

富士山にも似た成層火山、羊蹄山のふもとの森の中、大蛇のように地面をはう細長い建物は何?

 パウダースノーのリゾート地として人気のニセコ町。「ICOR NISEKO」は、2020年にできたビューティーケアブランド「ICOR」の本店兼カフェだ。

 代表の竹下マリさん(49)は20年ほど前に中国に渡り、美容関係の仕事などに就いた。オリジナルブランドを立ち上げるにあたり、中国や東南アジアで感じた北海道への強い関心を思い出した。羊蹄山からの湧き水を製品に使えることもあり、何より羊蹄山に「ひと目ぼれ」して、縁のない土地に飛び込んだ。

 設計を引き受けた長谷川豪さん(45)は「都市を忘れて、大自然に没入できるような空間にしたかった」と話す。ただし、建設地の西側は交通量の多い国道。大自然の風景に見入っていてもトラックの騒音に邪魔される。

 南北に長い9千平方㍍の敷地を歩き回った長谷川さんは、高さ5㍍ほどの崖を見下ろす東端に立つと車の音が気にならないと気づいた。崖下には小川が流れ、せせらぎがこだまする。「このポケットのような空間を拡張して、建築化すれば十分ではと考えた」

 ゆるくカーブする崖の等高線に沿うように幅4㍍の建物を配置した。国道の側は壁面とし、建物自体が防音壁となる。小川のほうはほぼ全体にベンチをつけた。カフェスペースもテーブルは置かず、廊下のような開放的な空間だ。建物の長さは約30㍍の予定だったが、事務所スペースを拡大、51㍍の超細長い形になった。

 開業から1年。遠方からも訪れる利用者の中には四つ葉のクローバー探しに熱中する人も。竹下さんは「地域の公園みたいに気軽に訪れてリフレッシュしてもらえる場所にしたい」。

(宮嶋麻里子、写真も)

 DATA

  設計:長谷川豪建築設計事務所
  階数:地上1階
  用途:物販、カフェ、ボタニカルガーデンなど
  完成:2021年

 《最寄り駅》 ニセコ駅から車


建モノがたり

 車で約5分の奥土農場石窯パン工房(問い合わせは0136・44・1095)は、ライ麦や小麦、光黒豆など材料をできるだけ自家栽培し、手作りの石窯で焼いた天然酵母のパンが人気。ライ麦パン(520円)やかぼちゃパン(460円)など種類豊富なパンのほか、タルトや焼き菓子が並ぶ。午前10時~午後6時(11月~3月は5時まで)。不定休。

(2022年10月25日、朝日新聞マリオン欄掲載記事から。記事・画像の無断転載・複製を禁じます。商品価格、営業時間など、すべての情報は掲載時点のものです。ご利用の際は改めてご確認ください)