子どもたちが駆け回れる園庭にしたいが敷地が狭い! その解決策とは?
やや落ち着いたとはいえ、保育園入園の「激戦区」である東京都世田谷区。東急の線路に近い尾山台みどり保育園は、区が用意した土地での事業者募集に、神戸市で長年保育園、こども園を運営してきた神戸保育会が応じて開園した。
最初に敷地を見た際、岡崎真子園長(57)は設計者の石川恭温さん(57)に園庭の広さを尋ね、示された面積の狭さに言葉を失った。地価が高い都心部では園庭を持たず、近くの公園などで代替する園も少なくないが、神戸で保育をしてきた岡崎さんには考えられないことだった。
500平方メートル弱の敷地に定員80人、0歳児から5歳児まで年齢別の保育室が必要な園舎と、子どもたちの広い遊び場をどう確保するか。
石川さんが考えたのが、地上の園庭、テラスから連続する2階の園庭、さらに屋上全面を芝生の斜面でつなぐ方法だ。屋上と2階園庭は滑り台でつなぎ、ループ状の遊びの動線を作った。
十字路に面した園庭は、道路からも見える。「子どもの姿が見えることで、この町が子どもを育てている感覚をもってもらえるのではないか」と考え、あえてオープンにした。「子どもたちにも町の様子を記憶にとどめ、愛着を持ってほしい」と石川さんは話す。
一方で近隣に配慮し、送迎時に自転車を路上に置かずにすむよう敷地内に駐輪場を設けた。隣地のある側の窓は少なく、小さめにしてある。
園庭に植えた草花や果樹には、季節ごとに虫たちがやってくる。子どもたちが元気に駆け上る斜面は緑の丘のようだ。岡崎さんは、「ひとりひとりを大切にする保育を続けていきたい」と目を細めた。
(田中沙織、写真も)
DATA 設計:石川恭温アトリエ一級建築士事務所 《最寄り駅》 尾山台 |
尾山台駅から徒歩3分のStone River Coffee(問い合わせは080・1235・5306)では、ハンドドリップコーヒー(550円~)や自家製プリン(450円)、モーニングセット(750円)などが楽しめる。持ち込みの豆の焙煎(ばい・せん)も(1時間4500円)。午前9時~午後8時半、(木)休み。