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ショウナイホテル スイデンテラス 山形県鶴岡市

田んぼ×ホテル 環境に調和

中央が共用棟、左右が客室棟。共用棟のレストラン、ショップ、ライブラリーは宿泊客でなくても利用できる
中央が共用棟、左右が客室棟。共用棟のレストラン、ショップ、ライブラリーは宿泊客でなくても利用できる
中央が共用棟、左右が客室棟。共用棟のレストラン、ショップ、ライブラリーは宿泊客でなくても利用できる 「田園ビュー テラス付ダブルルーム」。119ある客室はシングルからファミリー向けまでさまざま=ホテル提供

出羽三山を望む山形県鶴岡市の郊外。一面の田んぼの中、島のように浮かぶ建物は何?

 田んぼとホテル。「ショウナイホテル スイデンテラス」の意外な組み合わせは、建築家・坂茂さん(65)の直感から生まれた。

 ホテルがあるのは、いわゆる観光地域ではない。2001年に開設された慶応大学先端生命科学研究所など研究施設やベンチャー企業が立地する「サイエンスパーク」内に建てられた。

 ホテルを運営する「ヤマガタデザイン」の山中大介社長(36)は東京出身。都内の大手不動産会社から14年にパーク内のベンチャー企業に転職したのは、鶴岡の環境にひかれたためだ。同年にパークの施設開発などを担う同社を起業。庄内平野の景色や豊かな食材に加え建物自体が目的になるホテル建設を目ざした。

 設計を依頼され鶴岡を初めて訪れた坂さんは、「美しい水田風景をいかに保ちながら建築を優しく挿入し、四季折々表情を変える風景に調和する建築にするか」を考えた。

 あえて1棟に集約せず、フロントやレストランがある共用棟を中心に三つの客室棟を配置、ブリッジで結んだ。「田んぼを見ながら違う空間に行けるように分散させた」と坂さんは話す。自身も何度も滞在、「外を感じながら次の空間に移動できることは、成功したと思っています」。

 ホテルの周囲には、耕作せず水を張った景色を楽しむ田を残したが、来春からは田植えの範囲を広げる予定だ。「一面の雪景色もすてきです」とホテル広報の小野寺望美さん(42)は話した。

(片山知愛、上の写真も)

 DATA

  設計:坂茂建築設計
  階数:地上2階(共用棟・客室棟)
  用途:ホテル
  完成:2018年

 《最寄り駅》 鶴岡駅から車

ショウナイホテル スイデンテラス 公式HP
https://www.suiden-terrasse.yamagata-design.com/


建モノがたり

 隣接する児童教育施設キッズドームソライ(問い合わせは0235・26・8801)も坂茂さんが設計した。クライミングゾーンや巨大ネットで遊べる「アソビバ」やもの作りアトリエ「ツクルバ」がある。(前)10時~(後)6時((火)(木)は(後)3時から、(土)(日)(祝)、長期休み期間は入れ替え制)。(水)休み。入館料1歳500円、2歳700円、3歳~大人1500円(保護者、引率者500円)。

(2022年11月22日、朝日新聞マリオン欄掲載記事から。記事・画像の無断転載・複製を禁じます。商品価格、営業時間など、すべての情報は掲載時点のものです。ご利用の際は改めてご確認ください)