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道の駅 雨晴(富山県高岡市)

風景と歴史 「船」から見渡す

1階は観光案内所とトイレ。トイレ前の防風壁(写真の中央部分)には高岡伝統の鋳物を用いている
1階は観光案内所とトイレ。トイレ前の防風壁(写真の中央部分)には高岡伝統の鋳物を用いている
1階は観光案内所とトイレ。トイレ前の防風壁(写真の中央部分)には高岡伝統の鋳物を用いている 2階デッキから氷見方向を望む

富山湾の海岸線をなぞる国道沿いに現れたのは白い巨大な建造物。船が陸に上がってしまった?

 古くから「有磯海」として歌や句に詠まれた富山湾西部。奥州へ落ちのびる源義経が洞穴で雨宿りをしたと伝わる雨晴海岸は、海の向こうに3千メートル級の立山連峰を見渡せる絶景ポイントだ。

 「道の駅 雨晴」の設計を手がけた広谷純弘さん(66)は、基本構想の段階から計画にかかわった。ふとしたきっかけで20年ほど前から富山県内のコミュニティーセンターなどを手がけていた。

 富山大教授らとまとめた構想は、「遠くを想う」。はるかかなたの景色を楽しむだけでなく、土地の長い歴史も感じてほしいとの願いを込めている。

 海と崖にはさまれた敷地は国道に面した東西方向は長さ200メートルほどあるが、奥行きは狭い場所で4メートルほど。制約の多さを逆手にとり、「人の移動にともなって自然と景色が流れるような」形にできないかと考えた。

 結果的に「船のようになった」という建物は2階の約半分と3階が展望デッキ。東西それぞれの端にある駐車場からやってくる利用者は屋内外の階段を上って上階へ。外階段からは視線をさえぎるものがなく、視点の高さや位置が変わるにつれ、立山を望む東側、氷見市内がある西側、目の前の浜など風景が展開して見飽きない。

 道の駅には珍しく、最寄りの氷見線雨晴駅からも徒歩5分と近い。海辺を走るローカル線を目当てに訪れるファン、デッキを舞台にウェディングフォトを撮影するカップル、観光バスで訪れる人。訪れた日は天候に恵まれ、平日にもかかわらず、思い思いに景色を楽しむ人でにぎわっていた。

(鈴木麻純、写真も)

 DATA

  設計:アーキヴィジョン広谷スタジオ、創計画研究所
  階数:地上3階
  用途:道の駅(飲食・物販など)
  完成:2018年

 《最寄り駅》 雨晴


建モノがたり

 2階のカフェは、富山湾と立山連峰を望むテラス席が人気。季節で変わる「雨晴サンデー」(650円)や、(土)(日)(祝)限定の「射水産マスバーガー」(750円)などがそろう。2階にはほかに、銅器や漆器など高岡の工芸作家作品、地酒などを扱うショップがある。午前9時~午後6時(12月1日からは5時まで)。問い合わせは0766・53・5661。

(2022年11月29日、朝日新聞マリオン欄掲載記事から。記事・画像の無断転載・複製を禁じます。商品価格、営業時間など、すべての情報は掲載時点のものです。ご利用の際は改めてご確認ください)