愛知県の南東部、三河湾のすぐそば。滑らかな曲線を描く建物は何?
入り口の扉が開かれると、三河湾までひと続きにみえる青い水面が目の前に広がった。壁のアクリル板に光がはね、漆黒の大理石の床に外の風景が映り込む。
会員制ホテル大手リゾートトラストの「ラグーナベイコート倶楽部 ホテル&スパリゾート」(愛知県蒲郡市)のエントランスロビーは、思わず息をのむような空間だ。
「場面ごとにシーンが変わる演出を意識しています」。設計チームの一員だった清水満さん(53)は「近未来のラグジュアリー」が全体のコンセプトと話す。
「地域のランドマークとなるようなダイナミックなフォルムにしてほしい」。設計時にそう依頼された清水さんたちは、水をテーマにして、海と一体になるような建物をイメージした。
三河湾に面するポテンシャルを最大限に引き出すため、すべての部屋から海が見える案を思いつく。追求する形状は、波のようなエレガントさ。7階建てで総延長400メートルにおよぶ細長いホテル棟は、緩やかな曲線状で「グレート・ウェーブ」を描いた。
さらに、中央部の幅138メートル分については、1階から4階までの部分をくりぬいて上層階をV字形の柱で支え、水盤の上に空間を抱え込むような外観に。1階のスパで浴槽につかると、海まで水面がつながるように見える設計だ。
三河湾国定公園の景観にあわせ、建物の高さは30メートル以内に抑えた。両端に向かって高さが低くなるように傾斜をつけ、周囲の風景になじませている。天井の高さを確保するために、レストランは2層吹き抜けにするなど工夫した。
ホテル内は193室の客室のほか、レストラン、プールやジムなどが備わっている。開業当初から働く古田高司さんは「夕日の景色はお客様だけでなく我々も休憩がてら見にいってしまうほど美しいです」。
(中山幸穂、2枚目以外の写真も)
DATA 設計::安井建築設計事務所 《最寄り駅》:三河大塚 |
車で5分の「ラグーナテンボス」は、テーマパークやショッピングなどが楽しめる複合型リゾート。フェスティバルマーケット内「おさかな市場」では、新鮮な魚を食べることができる。営業時間や休業日は各施設により異なるためHP参照。
ラグーナテンボス(ラグーナ蒲郡)
https://www.lagunatenbosch.co.jp/index.html
ラグーナベイコート倶楽部 ホテル&スパリゾート