明治の木造和風府県会議事堂で唯一現存する旧和歌山県会議事堂。3度目の移築で建築当初の姿に復元された。
和歌山市に隣接する岩出市の丘陵地、京奈和自動車道の岩出根来インターチェンジから車で約3分の所にその議事堂は立っている。
元々は1898(明治31)年に和歌山市中心部の和歌山城付近に建てられた。3度目の移築となった現在の地で2016年、建築当時の姿に復元され、17年に国の重要文化財に指定された。
建物の間口は約31メートル、奥行き約47メートル。和風建築ながら議場の屋根にボルトや金具を多く使う洋式のトラス構造を用いるなど、近代的な技術が採用されている。目をひくのは、その議場で間口約18メートル、奥行き約23メートル、高さ約6メートルの大空間だ。
議事堂は議会がない時は講演会場や選挙会場にも使われた。1911(明治44)年には夏目漱石が「現代日本の開化」との題で講演した記録も残る。
38(昭和13)年に議場を備えた現在の県庁舎が建てられると、議事堂は売却されて和歌山市内の別の場所に移築、事務所として利用された。
そして62(昭和37)年に岩出町(現岩出市)の根来寺境内に移築され、「一乗閣」と名付けられ地域の人の集会場や宿泊施設としても利用された。
老朽化でほとんど閉鎖状態だったという90年ごろ、町民らから保存を求める声が上がり始めた。県議会に陳情書が出され、その後、県が保存を決定。根来寺が「一乗閣」の建物を県に寄贈し、近くの別の場所に移築保存されることになった。
保存修理を担当した県教育委員会文化遺産課専門員の御船達雄さん(56)によると、「一乗閣」の部材の調査と並行して行っていた文献調査などから、議場の向きが建築当初から180度回転して使われていたことが判明、さらに議場の奥に約250平方メートルの広さの控室があったことも分かった。すでに土地の造成工事に入っていたが、「敷地にぎりぎり入るので、控室を復元したかった」と御船さん。設計変更し元の議事堂の形に戻すことができた。
修復後に公共施設として利用するために、免震装置の付いた人工地盤の上に建てられ、別棟にエレベーターも設置。今は岩出市議会の議場になる日もあれば、コンサートなどのイベントに貸し出される日もあるという。
(鈴木芳美、写真も)
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DATA 設計:不明 《最寄り》:和泉砂川駅または岩出駅からバス |
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隣接する道の駅「ねごろ歴史の丘」内の「ねごろ歴史資料館」(☎0736・61・1170)では、付近一帯が境内だった根来寺の埋蔵文化財の展示や史跡根来寺境内の紹介をしている。午前9時~午後5時(入館は30分前まで)、火曜日(祝・休日除く)、年末年始休み。無料。