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ホテルニューアカオ(静岡県熱海市)

映える「昭和」伝統と革新の歩み

壁一面のガラス窓からは、景勝地・錦ケ浦と相模灘が望める。鮮やかなカーペットは、スタッフの間ではニューアカオレッドと呼ばれるという。6月には、屋外で食事やカフェ利用ができるテラスエリアもオープンした

断崖にたつ白い巨大なホテル。昭和の時代に難工事から生まれ、長い歴史を乗り越えて、令和に再び注目を集める。

 温泉地「熱海」の南端にある景勝地・錦ケ浦の断崖に立つ白い巨大なホテルは、熱海の街や新幹線からも目に入る。ホテル名をあしらった最上部の赤いロゴサインが印象的だ。
 ホテルニューアカオは、熱海市街で事業を展開していた赤尾蔵之助氏が1961年に開業した赤尾ホテルに次ぐ施設として誕生。73年開業となる現在のオーシャン・ウイングは、海中に基礎を多数打ち、断崖との間を無数の高強度ケーブルを引っ張って固定する「PSアンカー工法」という難工事から生まれた。
 副総支配人の若林豪さんによると、堅牢な構造は耐震性など現在の安全基準を十分に満たしているという。断崖にそって海上に立つユニークさから同ホテルを象徴するのはオーシャン・ウイングといえるだろう。
 施設の老朽化や新型コロナの影響もありオーシャン・ウイングは2021年に一度営業終了。翌年に投資ファンドのフォートレス・インベストメント・グループへ事業譲渡。グループ内のホテル運営会社マイステイズ・ホテル・マネジメント(現アイコニア・ホスピタリティ)が経営を担い、23年にリニューアルオープンした。
 その頃、昭和時代の豪華絢爛なインテリアや内装が注目を集めはじめた。若い世代に新鮮に受け取られ、SNSで拡散していった。
 「映える」代表格は、海面に近い2階にあるレストラン「メインダイニング錦」だ。柱がほとんどない高さ8メートルの大空間に約500人を収容でき、深紅のカーペットと、重厚感ある家具が豪華客船をイメージさせる。壁一面に広がる窓からは、大小さまざまな岩場からなる錦ケ浦と、その向こうに相模灘が見渡せる。
 館内にはいくつかの大きならせん階段もあり、それらも「映えスポット」として人気があるという。
 ホテルとしての内部は、時代に合わせ変化させている。特に大きかったリニューアルは、25年のエレベーターの増設だった。利用客の移動が集中する時間に、エレベーター不足を訴える声があがっていたため、地上17階のロビーから地上2階までを結ぶエレベーターを2基増設して6基にした。営業を絶やさずに工事を成し遂げた。
 建築当初の電力設備も増強し、ドライヤーや電気ケトルなどの高出力な製品を配置できるようにしたり、和室中心の構成から洋室を拡充して今の利用者ニーズにあわせていったりと改善を継続している。
 開業時から変わらぬ建物、昭和の愛される面影など良いところは残していく。一方で、時代のニーズに応じた進化も欠かさない。伝統と革新を両立させながらの歩みが続く。(見沢康、写真も)

 

DATA

   設計:稲葉長司設計事務所(当時)
   施工:清水建設
   階数:地上20階、地下1階(2026年現在)
   用途:ホテル、レストラン、宴会場など
   完成:1972年

《最寄り駅》:熱海

 

建モノがたり

 熱海駅から歩いて約20分、一駅隣の来宮駅から徒歩5分の来宮神社は、境内に大楠のご神木があり、パワースポットとして人気。受付時間は午前9時~午後5時、参拝は24時間可。社務所に隣接する茶寮 報鼓(☎0557・52・3280)ではドリンク類やスイーツも楽しめる。午前10時~午後4時半、土日祝は午前9時半~午後4時半。

2026年7月28日、朝日新聞夕刊記事から。記事・画像の無断転載・複製を禁じます。すべての情報は掲載時点のものです。ご利用の際は改めてご確認ください。