南国・宮崎の県庁本館。国会議事堂や戦艦大和の建造ドックと同じ石が使われ、美観と強度を保っている。
宮崎県庁舎の本館は、ヨーロッパの城や教会に似た荘厳な外観を誇る。
地上3階、地下1階の近世ゴシック様式。外壁を茶褐色のスクラッチタイルが覆う。壁面には、先端をとがらせた大小4種の装飾柱が天空に向かって伸び、直線美を演出している。2017年に国の登録有形文化財になった。
完工は1932(昭和7)年10月。昭和恐慌や五・一五事件で世の中が混乱するなか、延べ7万2500人を動員して工事を進めた。現存する都道府県庁舎の中では大阪、神奈川、愛媛に次いで4番目に古い。
湿地帯での難工事だった。出水とたたかいながら、基礎に県産のマツの丸太4886本を打ち込み、コンクリートで固めた。
建物の腰回りや正面玄関には計1万4130個の「議院石」が使われ、上層部の流麗さを際立たせる。広島県呉市の倉橋島で産出した花崗岩(かこうがん)で、国会議事堂(1936年完工)の外壁に選ばれたのが名前の由来だ。戦艦大和の建造で有名な旧呉海軍工廠(こうしょう)の造船ドックや、埼玉県議会議事堂などにも使われてきた石だ。
大正期から議院石を扱う呉石材(呉市)によると、「桜のような薄紅色が味わい深く、傷もつきにくい」という。
本館の建物にほれ込み、その歴史や特徴を著書「宮崎県庁本館」にまとめた元県史編さん室長の永井哲雄さんは、こう話す。「大不況の中、設計者をはじめ関係者一同が奮起して建てた。ド田舎だった宮崎に豪華な西洋建築が姿を見せたとき、県民は驚き、大いに刺激を受けたはずです。本館を中心にまちづくりも進んだのです」
築94年。行政の仕事が増えるに伴い、本館は手狭になり、周辺には10棟以上の分館ができた。過去には、移転・改築論議が浮上したこともあった。
県は今年度、本館を含む県庁舎の老朽化・狭隘(きょうあい)化対策の調査を始めた。永井さんは「時代が変わっても、宮崎の象徴である本館をどう生かすかという視点を大事にしてほしい」と話している。
(佐藤修史、写真も)
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DATA 設計:置塩章(おしお・あきら) 《最寄り》:宮崎駅からバス |
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本館東隣の県庁8号館1階にある「みやざき物産館KONNE」(☎0985・22・7389)は、鶏の炭火焼きやチキン南蛮、ゆずこしょう、地ビール、焼酎、スイーツなどの県産品約2500品目を販売している。午前9時~午後6時。元日は休み。