試行錯誤の末にたどり着いたのが、納豆に含まれる成分でした。創業20周年を迎える化粧品メーカー「鈴木ハーブ研究所」の象徴的な商品は、その成分が保湿機能を発揮する「納豆ローション」です。このオリジナル商品には、ある夫婦の願いと思いが込められていました。
◆次女の肌荒れ
「納豆ローション」と聞いて驚かれる方もいるかもしれませんが、臭いやネバつきはありません。納豆のネバネバに含まれる「ポリグルタミン酸」を使った化粧水で、一般的な化粧水によく使われるヒアルロン酸の2倍以上の保湿力を持ち、肌に塗るとすっとなじんで表面に水分の膜が張られるといいます。
「私が茨城県民だったので、もとより納豆にはすごく信頼を置いていました」。鈴木ハーブ研究所代表の鈴木さちよさんは、微笑みながら語ってくれました。いまは多彩なハーブに囲まれて穏やかな雰囲気の研究所ですが、このローションが誕生するまで、家族は大きな悩みを抱えていました。
今から20年ほど前。次女のハナさんが生後5カ月のとき、アトピーによる肌荒れを起こし始めます。病院でステロイドを処方されましたが、ステロイドは塗り続けることによる副作用が心配です。医師のすすめにより市販の化粧品やボディローションを試してみました。でも、なかなか改善しません。
保湿が大切と知った夫の伸幸さんは関連書籍を読んだり、化粧品の原料メーカーの展示会に足を運んだりして、ようやく見つけたのが「ポリグルタミン酸」でした。当時は市販の商品がなかったため、手作りでローション開発に取り組みます。ハナさんの肌は、次第にきれいになっていきました。
◆口コミで広がる評判
「ローションを分けてくれませんか」。ハナさんの肌荒れが治っていく様子を見た友人や知人から、次々と声をかけられるようになります。評判が評判を呼び、知り合いの知り合いや、面識のない方からも問い合わせが来るようになりました。ですが、当時はあくまでも伸幸さんが仕事を終えた帰宅後に個人で手作りしている状況でした。
「納豆ローション」を多くの人に届けよう――2003年、企業として商品を販売することを決意します。2004年、茨城県東海村の自宅の物置小屋で「有限会社鈴木ハーブ研究所」を設立しました。現在は、傍らに500種類以上のハーブが育つハーブガーデンがあり、研究所ではハーブの天然成分を使った保湿化粧水やお悩みに応えるムダ毛ケア商品、エイジングケア商品などを企画・開発しています。
従業員数は45名ほどで、近隣に住む方が多く集まりました。中には、お客様や地域で関わった方々の家族もいます。さらにハーブを親しんでもらうため、日々のハーブの成長やハーブを使ったレシピなどを紹介するコラムを手分けしてサイトにアップしています。「それぞれの個性や特性を発揮し、みんなが持ち味を活かしています」(さちよさん)。
個性をいかしながらも、研究所が掲げるコンセプトへの思いは同じです。「自活力を上げる」。サステナブルの考え方に基づき、人の身体や肌が元々持っている機能を活かしながら肌を整える力を身につけることを大切にしています。さちよさんはこう語ります。
「化粧品は年齢を重ねるに連れて使う量が多くなり、成分が濃くなっていくのが一般的です。でも、たとえば、肌の乾燥だったらとにかく保湿に特化したアイテムでしっかりと保湿をする。それで肌力を上げていただいたら、保湿アイテムは減らしていただいてもいいんです。そんな『卒業できる化粧品』をコンセプトに商品作りをしています」
鈴木ハーブ研究所の原点にあるのは、強い薬に頼らずに肌荒れを治していったハナさんの姿があります。新商品を開発する際は、どれにも「卒業できる化粧品」との思いが込められています。
(笹本なつる)
◆鈴木ハーブ研究所 公式サイト
https://s-herb.com/
クイズに正解された方のなかから、「納豆ローション」をプレゼントします。
▼納豆ローション プレゼント応募はこちらから (応募締切:2024年5月23日16時)
https://www.asahi-mullion.com/presents/detail/14795