瀬戸内海最大の島、兵庫県・淡路島の中央に位置する洲本市のアンテナショップが2019年1月、日比谷公園近くのビル1階にオープンした。洲本市のふるさと納税が人気で、寄付者の約半数が関東圏在住だったことが、東京都心へのアンテナショップ出店を決意させたという。
晴海通り側がすべてガラス張りで、店舗面積は約330平方メートルと広々としている。淡路島の代表的な農産物、タマネギをつるし、乾燥、熟成させるタマネギ小屋や、米や野菜を運ぶため、むきだしの運転席にエンジンを搭載した島独自の農作業車「農民車」がディスプレーされているのが歩道からも見える。
ショップ店名を「スモトのおべんと」にしたのは、淡路牛や海鮮、島野菜などをふんだんに入れたオリジナル弁当が売りだから。コンセプトは「『泣ける』お弁当屋」だ。
フロア中央部の二つの屋台を模した商品陳列台には、淡路島のサザエやエビなどがのった「スモトの贅沢海鮮丼」(1080円)、「スモトの玉ねぎたっぷり玉子サンド」(500円)など10種類ほどのお弁当が所狭しと並んでいる。その前には、段ボールいっぱいに入ったタマネギが「農民車」に積まれ、独特の香りを漂わせる。現在は、3月下旬~5月初旬が旬の「新タマネギ」(1個216円、3個540円)を販売中。
このお弁当と農民車のゾーンの両サイドに「マウンテンサイド」と「シーサイド」の二つのエリアがあり、洲本市を中心に淡路島の特産品約500点を取り扱っている。
山がテーマの「マウンテンサイド」は、フロアに青い人工芝が敷き詰められ、棚や台などにタマネギの加工品や特産品、スイーツのほか、レタス、大根などの島野菜が陳列されている。「シーサイド」には、冷蔵ケースに淡路島のチリメンジャコ、ワカメ、干物など海の幸を取りそろえた。イートインスペースもあり、「なるとオレンジ」と「淡路島牛乳『匠』と藻塩」の2種類のオリジナルソフトクリームを楽しめる。
お弁当と農民車のゾーンの裏手には「『泣ける』ビーチ」エリアがつくられている。周りを囲って薄暗い空間をつくり、正面のスクリーンには洲本市の大浜海岸の海、足元の流木や貝殻を置いた人工の砂浜には波が寄せたり引いたりする映像がそれぞれ投映され、海辺の雰囲気をつくり出す。都会の喧噪(けんそう)を離れてベンチに座り、波の音に耳を澄ませ、砂の感触を感じるとほっと一息つける。都会の真ん中で淡路島の美しいビーチに癒やされてみては。
(上江洲仁美)
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