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新型コロナウイルスの感染拡大による影響で公開延期となっていた『ポルトガル、夏の終わり』が新たに8/14(金)より全国順次公開されることが決定した。タイトルさながらに夏の終わりが近づく頃に改め公開されることになった本作より、その夏の終わりの“はじまり”を予感させる、印象的な本編冒頭映像があわせて解禁された!
本作は、フランスの至宝イザベル・ユペールがアイラ・サックス監督の『人生は小説よりも奇なり』(14)に惚れ込み監督にラブコールを送り、それを受けた監督が彼女のために書き下ろした儚くも美しい人生の物語。
イギリスの詩人バイロン卿に“この世のエデン”と称されたポルトガルの世界遺産の町シントラを舞台に繰り広げられる、ある夏の終わりの1日。早朝から日が沈む夕景が映し出されるまでというごく短い時間で繰り広げられる物語を通じて、主人公フランキーとその家族や大切な人の、それぞれの過去、現在、そして未来――ゆったりと流れ、決して止まることのない彼らの人生の姿がありありと浮かび上がってくる。このうえなく幻想的で美しいシントラという町が、フランキーたちの人生模様を演出するかのようにスクリーンに映し出される。
解禁された映像は、印象的な本編冒頭映像。自らの余命があまり長くないと悟ったヨーロッパを代表する女優フランキーは、バケーションと称してポルトガルの世界遺産の町シントラに家族や親友を呼び寄せ、最愛の者たちの人生を少しだけ演出しようと目論んでいる。この本編冒頭シーンは、早朝、フランキーや家族が滞在している壮麗なゲストハウスのプールにフランキーが現れるシーンから始まる。彼女はちらりと周囲の様子を注意深く見渡したのち、あっけらかんとガウンやビキニ、そしてトレードマークのハイヒールを脱ぎ、トップレスでプールに飛び込む。そこに朝食を持って現れた義理の孫マヤが、「人に見られるよ」と助言するが、フランキーは「かまわない。私は写真映えするもの」と全く気にする様子もない。大胆で自信にあふれるフランキーを象徴するシーンだ。
ユペール演じるフランキーが画面に現れてからカメラのフレームから外れるまで約80秒、カメラは止まることなくささいな仕草も含めその姿を捉え続ける印象的なカットになっている。
サックス監督は、エリック・ロメールの作品を緻密に研究し、極力カットをせずに俳優たちの演技に任せて撮るという、ある意味かなり演劇的なスタイルを取り入れた。観客が俳優自身と、役柄の両方を見られるよう意図しているといい、「それがこの映画に自然でありながら遊び心のある興味深いトーンを創り出したと思っています。贅沢な俳優陣がそれぞれ相手と反応しながら演技するのを観客は観察することができるんです。」と語る。ユペールは、「アイラは私に“ポイントゼロの演技”、つまりその場の状況だけを行動で演じることを求めた。私が演出をし過ぎると、彼はよく注意してきたわ。彼は可能な限りのシンプルさを求めていて、余分なものはすべて排除した。だから、私はただそこにいるだけ。」と振り返る。
この後、フランキーが仕組んだ“家族劇”の登場人物が次々と現れ、彼女との複雑な関係とともに明らかになっていくが、この1日がそれぞれの人生にとってターニングポイントになるとは誰も想像だにしていない。
■『ポルトガル、夏の終わり』本編冒頭シーン
8/14(金) よりBunkamuraル・シネマ、ヒューマントラストシネマ有楽町、新宿武蔵野館 他全国順次公開