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池松壮亮×オダギリジョー×チェ・ヒソ韓国初上映に感謝!

『アジアの天使』全州(チョンジュ)映画祭Q&Aイベントレポート到着!

(c) 2021 The Asian Angel Film Partners
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 5月8日閉幕の全州映画祭(4月29日~5月8日)のCinemaFest部門に出品された『アジアの天使』が、5月1日に韓国で初上映され上映後の舞台挨拶に主演の池松壮亮、オダギリジョー、石井裕也監督がリモートにて登壇。

 上映を終えた観客へひとこと言葉を求められた池松は「アニョハセヨ」と一言挨拶すると、続けて「韓国のお客さんに初めて観てもらえて嬉しいです、本来であれば韓国に行きたかったのですが、この状況下なのでなかなか韓国に行けず残念です。」とコメント、続いてオダギリは「映画祭自体を開催するのが大変な状況だと思いますが、お客さんもこういう状況の中、映画を観にきてくれて嬉しいです、映画祭を心から応援したいと思っています。」

 映画祭の舞台上にいるチェ・ヒソからも「この映画が完成した当時(新型コロナウイルス蔓延初期)は映画祭などで直接お客さんに観せられると思っていなかったので、ぜひこの時間を楽しみたいです。」と舞台に立てた事を喜んだ。

 韓国、日本のキャストを起用して韓国で映画を撮ろうと思ったきっかけを聞かれた石井監督は「プロデューサーのパク・ジョンボムさんと2015年に釜山映画祭で出会って韓国は特別な国になりました、“彼と出会えた奇跡”を韓国で撮りたいと思っていました、それが数年越しに叶いました。」と企画の成り立ちのエピソードを披露。

 オダギリは撮影中のエピソードや大変だったことを聞かれると「海外での撮影はもちろん大変なことだらけですが、日本のシステムを捨て、その国に合わせて0から戦っていかないといけないのが実は新鮮で心地いいんです。実際、韓国の俳優の皆さんとの撮影は楽しかったですし、夜お酒を飲みかわしながら友情を育んでいけたと思います。」と韓国での撮影時の思いを振り返った。

 池松へは小説家である剛(つよし)に対して、もし劇中で小説を書き上げていたとしたら最後の言葉は何で締めくくったのか?という質問が及ぶと、オダギリ、石井監督からも「難しい―!」とガヤが飛ぶなか、池松は頭を抱えながらも「"天使に会った”」というのはどうでしょうか。」と返答、会場からは拍手が起こった。

 チェ・ヒソ演じるソルが劇中よくサングラスをかけている意図に関して問われると「ソルはアイドルを目指しながらも失敗して、その悲しみやトラウマで傷ついた心を隠したくてサングラスをかけていたと思います。ソルは剛たち家族に出会って変わりはじめます、そのきっかけのシーンとして愛人関係にあった社長と喧嘩するシーンがあるんですけど、そこで吹っ切れて無名でもいい、このままの自分でいいと決心するのです。それ以降彼女は変わっていき、愛の表現を家族にもできるようになったと思います、あるシーンでも警察官に剛の息子・学に対して「家族ですか?」と尋ねられた時にもはっきり『家族です』と言うのです。家族ではないけど家族のような繋がりを確かに感じて出た言葉だと思います」とソルの劇中での感情の変化を丁寧に語った。

 最後に、本作で出会う韓国と日本の2つの家族、家族とはどういうものかの質問に石井監督は「家族の価値観や固定概念を無くそうと思って作りました、どんな関係であってもいい、好きなものを食べて、お酒を飲むこと、それだけでいいと思っています。」と明かし、続けて池松も「家族、天使、言葉、価値観、あらゆるものが概念であり、いかに自分たちがそういうものに縛られているかと感じます。韓国ロケの最中、僕たちは、家族でもない、チング(友人)でもない、ゆるやかな生命共同体みないなものになれました。家族とは”自由な共同体である”と思います。この映画の家族はともに同じ物語を信じられた人たちだと思う。それが、この映画においての家族だったと思います。」

 続いてオダギリは多くの家族が住むシェアハウスを引き合いに出し「例えばシェアハウスのような環境で育った子供にとって、血のつながりはなくても、彼らのことを大切な家族だと思うでしょう。いくら血が繋がっていても不幸な形はあるだろうし、血が繋がっていなくても幸せという事があるように、人と人との繋がりのほうが重要だと思います。血のつながりは関係ないんじゃないかなと思います。」と家族の在り方について持論を明かした。

 最後に客席にいたチェ・ヒソ演じるソルの妹・ポム役のキム・イェウンも最後舞台に登壇するなどのサプライズも起こり、会場は温かい拍手で包まれた。

 7月2日(金)テアトル新宿ほか全国公開

(記事・画像の無断転載・複製を禁じます。すべての情報は更新時点のものです。資料提供:シネマNAVI )