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次世代の医師の卵たちに、Dr.コトーが伝えたいこととは…『Dr.コトー診療所』

北の大地・北海道に上陸、特別講義を実施!

(C)山田貴敏 (C)2022映画 「Dr.コトー診療所」製作委員会
(C)山田貴敏 (C)2022映画 「Dr.コトー診療所」製作委員会
(C)山田貴敏 (C)2022映画 「Dr.コトー診療所」製作委員会 (C)山田貴敏 (C)2022映画 「Dr.コトー診療所」製作委員会 (C)山田貴敏 (C)2022映画 「Dr.コトー診療所」製作委員会

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 2003年フジテレビの木曜10時枠で放送された連続ドラマの映画化『Dr.コトー診療所』。先日与那国島凱旋プレミアを行ったばかりの本作が、今度は北の大地・北海道に上陸!今度はへき地医療を学ぶ医者の卵たちに、特別講義を実施した。

 11月21日(月)に撮影場所にもなった日本最西端の島・与那国島にて、これまでの感謝の気持ちを込めて、どこよりも早く与那国島の島民の皆さまに届けたい、というスタッフ・キャストの思いを形にする形で凱旋プレミア上映会を実施した『Dr.コトー診療所』。会場には約200人のお客様があつまり、大きなスクリーンに映る美しい与那国島の景色を楽しみながら、物語が進むにつれて、会場からは鼻をすする音や涙をぬぐう島民の姿が多くみられた。その後、サプライズで舞台挨拶に登壇した吉岡と柴咲に、本編鑑賞後の熱が冷めやらぬないお客様からどよめきのような歓声も混じる中大きな拍手が巻き起こり、島民、キャストともに笑顔が溢れる終始和やかな雰囲気でイベントを締めくくった。

 そんな与那国島凱旋プレミアから約一週間後の29日(火)、吉岡と柴咲が訪れたのは、北海道にある札幌医科大学。「へき地・離島医療」にも土地柄、縁の深いこの学校で「そこで生きている患者さんたちに医師として何ができるのか」というテーマにした、まさしくへき地医療にまつわる講義を受けたばかりの約70人の学生の前で、中江監督とともにトークイベントを行った。

 本作は絶海の孤島に赴任したDr.コトーこと、五島健助が島のたった一人の医師として島民の命を救うという物語。北海道で実際に直面している「へき地医療の現実」を扱う講義を真剣に聞き終えたばかりの生徒たちの前に登場した吉岡は、まず「Dr.コトーって知ってますか?」と20代前半が中心の生徒たちに声をかけ、多くの手が上がるとホッとしたように笑みをこぼしていた。柴咲も「私はいち俳優なので、皆さんにとって学びとなるようなものを提示できるのか不安ですが、(今日の講義を通して)何か繋がりや共感を感じてもらえたら嬉しいなと思います」と、真剣な眼差しで「コトー」を演じてきたキャストたちを見つめる未来の医師を目の前に、緊張した面持ちでコメントするなど、普段のイベントとは違った雰囲気に身を引き締めている様子。

 そんな中、まずは「北の国から」で長年北海道で撮影をしていた吉岡に、北海道のイメージを聞くと「北海道は実は久しぶりということもなく、この前も大通公園でトウモロコシを一人で食べていました(笑)与那国の人もそうですけど、自然が厳しいところに住んでいる人は心根が優しいですよね」と話し、柴咲も「両親の出身が北海道ということもあり、小さい頃から縁があったのですが、大人になってから改めて北海道の魅力に取りつかれて2年前くらいから住み始めました」と明かすなど、それぞれ北海道との縁の深さを話した。

 そのまま、先ほどまで行われていた講義の内容について聞かれた吉岡は「僕は、(代表作が)北の国から南の島へっていう意味で“へき地俳優”って呼ばれていて(笑)コトー先生のセリフの中に『病気を診るな。人を診ろ』というのがあるんですが、本当にその気持ちでずっと演じてきた気がします。まずはその「人を診る」ということだけでも実はすごく難しいことで、病気だけ治すという方がもしかしたら簡単なのかもしれないと思うこともきっとありますよね。役者である僕としても、いかに現地の人やスタッフたちと協力し合って、モノづくりをしていくかというところは少し似ているかもしれません」と、長年役者として医療に向き合ってきた吉岡ならではの視点で、優しく生徒たちに語りかけた。

 柴咲も吉岡の言葉に深く頷きながら「ドラマがスタートした2003年は、私はまだ20代で、そういった地方での暮らしやそこに点在する様々な問題を知りませんでした。ただ、そういう問題は人がいないところに行けば行くほど実は山積みで、当時は小さい島の問題だったかもしれないけど、それが近い将来日本全体の物語になっていくのかもしれないという認識を孕みながら、この作品が製作されたのかなと思いました」と、講義のテーマであり『コトー』も取り扱って来た“へき地医療”の在り方にも柴咲自身の視点を交えながら話した。

 さらに中江監督も「映画のモデルとなった鹿児島県の下甑島にある診療所に掲げてある基本理念が『島民の医療に対する不安を解消することに努めます』ということなんです。現場の先生たちが一番に望むのは、医療に対する不安を取り除くことなんだとその時に気づきました」と話し、講義をした札幌医科大学に勤め、へき地医療にも携わってきた辻喜久教授も「一足先に映画を試写で観させていただいたのですが、すごく胸を掴まれるようなシーンがいくつもあって私自身の医師としての経験とも照らし合わせて、観終わって帰るときに目が赤くなってしまいました。今日も皆さんからもものすごく温かい励ましの言葉をいただけた気がします」と話し、実際に患者と向き合う医師からの想いに吉岡、柴咲、監督も感銘を受けた様子だった。

 また、会場に集まった学生からの質問で「予告映像に『人を救って、人に救われて、ずっとここで生きてきた。』という言葉がありましたが、役を演じる中で、実際に周りの人々から救われた経験はありますか?」という問いに対し、吉岡が「今回手術シーンでは本当に怖くなってしまって、震えが止まらなくなってしまったことがありました。そういった経験は長い間役者をやっていて初めてだったのですが、自分の中で五島健助という男が生きてしまっていて、この16年のコトー先生の重みみたいなものを背負わされたときに僕はとてもじゃないけど演じられないと思ってしまったんです。その時、柴咲さんが震える僕に「五島先生の気持ちは吉岡さんにしか分からないですからね。でも私はそばにいますよ、吉岡さん」って言ってくれて。スッと吉岡秀隆という人間に戻してくれたんです。それで一緒にいた和田さん役の筧利夫さんも腰をグッと支えてくれて「それでいいんだよ、吉岡」と励ましの言葉をかけてもらえて、今回の作品で言えば、その二人に本当に支えられました」と話すと、柴咲は「毎回こうやって吉岡さんが素敵に話して下さるので、私がすごく素敵な人に見えますよね」と照れ笑いをしていた。

 最後には「役者も色んな役者がいるように、お医者さんも色んなお医者さんがいていいと思うんです。たとえ自分が頑張っている姿を誰も見てくれてる人がいなかったとしても、あの時自分は頑張ったと思えることが、必ず自分の心の財産になっていくと思うので、僕もまだ役者の勉強中ですが、皆さんもお医者さんの勉強一緒に頑張りましょう!」と吉岡から学生たちにエールを送り、これから人の命を救っていく未来の医師たちの真剣な姿勢に、キャスト、監督が真摯に応えるという『コトー』ならではのトークイベントとなった。

 さらに、キャスト登壇を告知をしていないにも関わらず約600人の客席に対して5000通の応募があり満席となった試写会場のお客様を前に、舞台挨拶を実施。そこで吉岡から「僕、仕事がない時はほどんど北海道にいます(笑)美味しいものはたくさんありますが、なによりも空気が美味しいですよね。」と話し、柴咲も「北海道好きが高じて北海道に住むまでになったんですけど、忙しくて全然ゆっくりできていないので、たまには休んで北海道で過ごせたらと思っています」と返して、お互い顔を見合わせて頷き合うなど、北海道への愛を存分に語った。また、本試写会の応募が、通常のおよそ倍の応募があり、長く愛され続けている理由を聞かれた吉岡は「ちょこちょこ再放送してるからですかね?(笑)でも、ドラマの撮影時から『何年になっても色あせない作品を作るぞ』と監督と柴咲さんと話していたので、16年経った今でもこうして愛して下さる方がいるというのは嬉しいですよね」と会場を見渡しながら、感じ入っていた。

 また、柴咲は「通常の作品だと、長くても3~4か月で撮影してあっという間に解散してしまうんですけど、この作品に携わっている人たちって本当に親戚みたいにずっと心の中にいるんだなと思います。今回再集結して映画を撮るってなった時に、「懐かしい」という一言では足りないような絆を感じて、そんな感情になったことが自分自身でも驚きました。自分の中で本当に特別な立ち位置の作品なんだなと思いました」といちファンだと自負する『コトー』への想いを改めて噛み締めていた。

 舞台挨拶の最後には吉岡から「観るたびに違う感情を感じる不思議な映画になっていると思います。一番最初に観て下さったのが与那国島の人たちで、次が北海道と、こうしてこの作品が繋がっていくことが嬉しいです」と話して締めくくった。

 12月16日(金)全国公開!

(記事・画像の無断転載・複製を禁じます。すべての情報は更新時点のものです。資料提供:シネマNAVI )