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『エンドロールのつづき』グジャラート語映画の一般公開は日本初!
アジア映画研究者の松岡環さんが解説!

9歳の少年が映画に出会う瞬間…

ALL RIGHTS RESERVED (C)2022. CHHELLO SHOW LLP
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 チャイ売りの少年が映画と出会い、やがて世界で活躍する映画監督になる―。監督自身の驚くべき物語を映画化した、『エンドロールのつづき』より、本編映像が到着した。

 本作は、トライベッカ映画祭ほか、世界中の映画祭で5つの観客賞を受賞し、さらにバリャドリード国際映画祭では最高賞にあたるゴールデンスパイク賞をインド映画として初めて受賞。そして世界中の映画祭から喝采を浴びた本作は、日本でも大きな話題となった『RRR』などの話題作を抑え、第95回アカデミー賞インド代表(国際長編映画賞)に決定。さらにロスで行われた「アジア・ワールド・フィルム・フェスティバル2022」でも最優秀作品賞を受賞するなど、快進劇が続いている。

 舞台となったのは、インドのグジャラート州の小さな村チャララ。本編映像では、そんな大自然が広がる農村に住む主人公サマイが父親に「これが最後だ。カーリー女神様の映画だから」と連れて行かれるシーンから始まる。おとずれたのは街の映画館“ギャラクシー座”。厳格なバラモン階級の父は映画を低劣なものだと考えているが、信仰しているカーリー女神の映画は特別だという。人で溢れかえった映画館でなんとかチケットを手に入れて席に着くと、目に飛び込んだのは後方からスクリーンへと伸びる一筋の光…そこにはサマイが初めて見る世界が広がっていたのだった。

 アジア映画研究者の松岡環さんが、本作で上映されている作品、そしてボリウッドについて説明をしてくれた。グジャラートのカティヤワル半島の小さな村、チャララに住むサマイ一家が「これが最後」と観に行った映画とは、「映画館の看板では『Jai Mahalali(カーリー万歳)』となっているが、映像は『Karishma Kali Ka(カーリーの奇蹟)』という1990年の映画から取ったソング&ダンスシーン」と解説する。


『エンドロールのつづき』本編映像

 満席となったギャラクシー座に広がる大きなスクリーン、そこで繰り広げられる映画のシーンを映す映写機の光にサマイは魅了され、夢中になっていく。「サマイが夢中になったのは、ローカルなグジャラート語映画ではなく、毎年300本位前後を製作するヒンディー語映画。有名スターが出演し、多額の製作費を使って作られる豪華なヒンディー語映画は、製作中心地ムンバイの旧名「ボンベイ」+「ハリウッド」で「ボリウッド」映画と呼ばれているもの」と、インド映画の代名詞ともなっている“ボリウッド“について説明。また、上映前に父親がサマイに、「3時半、6時半、9時半の3回上映だ」と説明しているシーンについても「シネコン(シネマコンプレックス。インドではマルチプレックスと呼ぶ)が出現するまでのインドの映画興行は、一本の映画が間に休憩をいれた3時間枠に設定されていた」と、映画に描かれたのは、過去の上映スタイルだということを教えてくれた。

 また、劇中で上映されているボリウッド映画について、松岡さんは「サマイが劇場で見る映画は、アクシャイ・クマール主演作『Zulmi(悪人)』(1999)などだが、本作中で一番多く引用されているのが、時代劇『Jodhaa Akbar(ジョーダーとアクバル)』(2008)である。そのほか、1970年代半ばからボリウッドの人気男優となり、今も別格的スターとして活躍するアミターブ・バッチャンの主演作『Khuda Gawah(神に誓って)』(1992)や、『Aks(影)』(2001)もちらりと引用されている。」とインド映画ファンにはたまらない情報も。

 盛栄を極めたボリウッド映画に心酔するサマイが「映画を作りたい」と、夢を見つけた瞬間を捉えた本作は、「日本で初めて一般公開されるグジャラート語映画」であるという。パン・ナリン監督の映画への愛と夢が詰まった本作。年明けの公開に期待だ。 

 2023年1月20日(金)新宿ピカデリー、ヒューマントラストシネマ有楽町、シネリーブル池袋 他全国公開

(記事・画像の無断転載・複製を禁じます。すべての情報は更新時点のものです。資料提供:シネマNAVI )