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コスチュームジュエリー アクセサリーミュージアム

時代の流れを映す輝き

シャネルブローチ(上縦10.3、中9、下6.8センチ、1920~30年代)
シャネルブローチ(上縦10.3、中9、下6.8センチ、1920~30年代)
シャネルブローチ(上縦10.3、中9、下6.8センチ、1920~30年代) モーニングジュエリーブレスレット(直径5.5センチ、19世紀前半)

 コスチュームジュエリーとはガラス、鉄など、貴金属や宝石以外の素材を使った装身具のこと。デザイン性が高く、その時代の流行を知ることができるのが魅力です。2010年にオープンした当館には、世界中で集めた1830年代以降のコスチュームジュエリー約2千点を展示しています。

 ルーツは1800年代。欧州では産業革命などで市民が台頭し、それによる経済成長がおしゃれをする余裕のある人を生みました。そんな折、宝石に似せたガラス製の装身具が広まったのです。それらは、水晶など半貴石のカット技術が高いチェコで作られました。

 コスチュームジュエリーのあり方を大きく変えた作品をご紹介しましょう。ココ・シャネル(1883~1971)が1920~30年代に作ったブローチです。鉛を素材に、顔料を大胆に塗り込んでカトレアやカエルを表現しています。このデザインが刺激となったのでしょう。第2次大戦後はより自由な発想のコスチュームジュエリーが生み出されていきました。

 もう1点は、19世紀前半の英国で作られた、少女の遺髪を編んだブレスレットです。その時代はビクトリア女王の治世。女王は若くして夫を亡くし、長い間喪に服していました。そこから、一般人にも故人をしのぶ装身具が流行したのです。

(聞き手・西村和美)


 《アクセサリーミュージアム》 東京都目黒区上目黒4の33の12(TEL03・3760・7411)。午前10時~午後5時(入館は30分前まで)。1000円。(月)、第4・5(日)と8月1~31日休み。2点常時展示。

田中さん

館長 田中元子

 たなか・もとこ アクセサリー製造卸の勤務経験を持ち、世界各地のコスチュームジュエリーを収集する。2010年より同館館長。

(2018年7月10日、朝日新聞マリオン欄掲載記事から。記事・画像の無断転載・複製を禁じます。商品価格、営業時間など、すべての情報は掲載時点のものです。ご利用の際は改めてご確認ください)