近年、コンピューターなどの電気通信技術を使った芸術、メディアアートが注目されています。当センターは日本の電話事業100周年を記念して、1997年に開館。コミュニケーションをテーマに様々なメディアアート作品を紹介しています。
芸術文化と科学技術を対話させ、新たな芸術表現を生み出す場をつくることが目的。開館初期に、国内外の14作家に制作を委嘱し、その作品を所蔵していますが、機材のメンテナンスやアップデートが必要になるため、現在はほとんどの作品は展示されていません。
「ジャグラー」は唯一、開館当時からずっと展示している作品。高さ約4メートルの鉄製の円筒形が高速で回転すると、曲芸師が空中に投げた受話器が哺乳瓶からミルク、サイコロ、骨へと変化する動きを繰り返す立体アニメーションです。米のアーティスト、バーサミアンは、19世紀の映像装置「ゾートロープ」を巨大化し、回転数に合わせてストロボを明滅させることで、現代に再生しました。映像史をさかのぼり過去の技術を再発見する「メディア考古学」の手法で作られ、純粋な驚きが体験できます。
ロビーにある「アート&サイエンス・クロノロジー」は1900年~2000年の美術、科学、技術の3分野を模型や写真、本などの資料でその関連を表した年表です。
どちらも難しく考えず、直感的、反射的に楽しんでもらいたいですね。
(聞き手・石井久美子)
《NTTインターコミュニケーション・センター》 東京都新宿区西新宿3の20の2の4階(TEL0120・144199)。午前11時~午後6時。原則(月)((祝)(休)の場合は翌日)、年末年始休み。入場無料。2点は常設展示。2019年3月10日まで「オープン・スペース2018」を開催。
学芸員 畠中実 はたなか・みのる 専門はメディアアート。1996年の開館準備より携わり、多数の展覧会を担当。 |