個人コレクターにより設立された当館は国内外の万華鏡500点以上を所蔵しています。
万華鏡は19世紀初め、スコットランドの物理学者が発明し、1819年には日本に伝わっていたようです。
長く玩具とみなされてきましたが、1980年代の米国での雑誌の特集や展覧会を機に、次第に芸術として注目されるようになりました。
内側には複数の鏡が筒状に組み合わされ、外側のボディーの端にはのぞき穴、反対側にオブジェクト(ガラス片やビーズ)を入れた容器が付けられているのが基本の構造。
鏡の数や角度によってオブジェクトがつくる内部映像の見え方が変わります。
高さ44センチの「FU・JI・YA・MA」は世界大会で過去6回最優秀作品賞を受賞した山見浩司さんの作品。
ステンドグラスのボディーは表側が青い富士、裏側は赤富士です。
オブジェクトは2枚の円盤に取り付けられ、左右のハンドルを回すとそれぞれの円盤が回転し、ボディーの色と呼応した青と赤の内部映像が楽しめます。
外観の富士の二つの姿と二重のオブジェクトによる内部映像、双方の二面性が魅力です。
米国人の作家夫妻による「スノーフレークス」はのぞき穴が二つあり、2枚の鏡をつけた穴からは大きな一つの雪の結晶が、3枚の鏡のもう一方では複数の結晶が映し出されます。
オイルとともに封入されたオブジェクトの動きはゆっくりで、余韻を感じられます。
万華鏡は日常を忘れさせ気持ちをリセットしてくれます。いつまでも見ていられて、やめどきが分からないのが難点ですね。
(聞き手・小森風美)
《仙台万華鏡美術館》 仙台市太白区茂庭松場1の2(問い合わせは022・304・8080)。午前9時半~午後5時(入館は30分前まで)。900円。1月14、21、28日、2月4、18、25日休み。
スタッフ 渡辺陽子さん わたなべ・ようこ プライベートで同館を訪れ万華鏡に魅せられ、開館翌年の2000年から勤務。来館者に作品の背景や裏話を披露することも。 |