恐竜化石の発掘が盛んな福井県勝山市にあり、恐竜化石研究の拠点として活動する当館では44体の全身骨格を展示、うち10体は実物です。
カマラサウルスの一種の全身骨格は、ほぼすべてが実物の化石で組み上げられています。首と尻尾が長い大型の植物食恐竜・竜脚類で、米ワイオミング州の私有地で見つかりました。
当館が買い付け、化石周囲の岩を取り除くクリーニング、組み立てを行いました。死んだ時に首と尻尾をつなぐ腱が収縮してエビぞり状になっていたり、圧力で骨が変形した結果、腰骨と大腿骨がずれていたりして、組み立ては非常に難しい作業でした。
恐竜化石の発掘というと、全身の骨がある程度まとまって見つかるイメージがあるかもしれませんが、福井では、かつての川やその周辺の地層からバラバラに見つかります。恐竜化石が多く含まれると考えられる地層までは重機などで掘り進めます。
2007年7月4日、そうした準備段階で見つかったのがフクイティタン・ニッポネンシスの上腕骨です。本格的な調査の前で誰もいない現場で確認作業をしていた時、岩塊から化石が顔をのぞかせていたのです。
1989年からの調査で竜脚類の歯は発見されていたものの、骨の化石は一つも発見されていませんでした。その後多くの部位が見つかり、尻尾の骨などの特徴から新種と認められました。日本で初めて学名がつけられた竜脚類です。
(聞き手・三品智子)
《福井県立恐竜博物館》 福井県勝山市村岡町寺尾51の11(問い合わせは0779・88・0001)。午前9時~午後5時(入館は30分前まで)。予約制。730円。原則第2・4(水)、年末年始休み。夏休み期間中は無休。
主任研究員 柴田正輝 しばた・まさてる 福井県立大恐竜学研究所准教授併任。博士(理学)。専門は古脊椎(せきつい)動物学、特に恐竜類。イグアノドン類を中心とした恐竜化石発掘調査と研究を行う。 |