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ROKKO森の音ミュージアム

楽団に代わりダンス盛り上げ

「デカップ・ダンス・オルガン〝ケンペナー〟」 1938年 ベルギー<br> 縦456×横788×奥行き180.5センチ
「デカップ・ダンス・オルガン〝ケンペナー〟」 1938年 ベルギー
 縦456×横788×奥行き180.5センチ
「デカップ・ダンス・オルガン〝ケンペナー〟」 1938年 ベルギー<br> 縦456×横788×奥行き180.5センチ 「フォノリスト・ヴィオリーナ」 1910年(93年、ジークフリート・ヴェンデル復元)<br> 257×169×88.5センチ

 1994年オープンの当館はオルゴールやバイオリン、オルガンなどの自動演奏楽器を中心にコレクションしています。

 自動演奏楽器の歴史は古く、14世紀ごろには教会の鐘を鳴らす技術が生まれていたようです。19~20世紀は特に技術の進歩が目覚ましく、バイオリンやピアノなどの自動演奏楽器が開発され、人々を驚かせました。

 ベルギー製の「デカップ・ダンス・オルガン〝ケンペナー〟」は町から町へ移動するダンステントやホールなどで楽団の代わりにダンスミュージックを演奏した楽器です。590本のオルガンパイプを中心に大小の太鼓、マラカス、トライアングル、テンプルブロック(木魚)などの打楽器やアコーディオン、鉄琴が付属。響き渡る音量は迫力があり、電飾が場を盛り上げます。

 丈夫な紙に穴を開けた「ブック」を読み取り、内部の空気圧をコントロールしてオルガンパイプに空気を送り込むことで音が出ます。現在は送風機で風を送り込んでいますが、元はふいごを使っていました。大型ですが、分解して持ち運ぶことができます。ダンステントの興行とともに分解、組み立てを繰り返したのではないでしょうか。

 1910年ごろドイツで作られた製品を復元した「フォノリスト・ヴィオリーナ」は、上部のバイオリンがメイン、ピアノは付属の位置づけです。

 3丁のバイオリンはそれぞれE、A、D線の演奏を担当し、穴の開いた薄紙「ロールペーパー」による制御で弦が押さえられます。バイオリンを取り囲む銀色の輪の内側には白馬の尾の毛が張り巡らされ、回転する輪のほうにバイオリンが傾いて弦がこすられ、音が出ます。

(聞き手・片山知愛)


 《ROKKO森の音ミュージアム》 神戸市灘区六甲山町北六甲4512の145(問い合わせは078・891・1284)。(前)10時~(後)5時。1500円。4歳~小学生750円。5月4日、7月20日~11月23日を除く(木)、年末年始休み。

 ROKKO森の音ミュージアム
 https://www.rokkosan.com/museum/

さきもと・えりな

学芸員 﨑本 恵里奈

 さきもと・えりな 1988年兵庫県生まれ。大学卒業後、2010年から現職。コンサートや展示の企画を経験した後、営業・広報を担当。

(2023年4月11日、朝日新聞マリオン欄掲載記事から。記事・画像の無断転載・複製を禁じます。商品価格、営業時間など、すべての情報は掲載時点のものです。ご利用の際は改めてご確認ください)