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大塚国際美術館

天井画・壁面を丸ごと陶板に

大塚国際美術館
「システィーナ礼拝堂天井画および壁画」 2007年完全再現
 高さ16×間口20×奥行き約40メートル
大塚国際美術館 大塚国際美術館

 絵画をやきもので精巧に再現した「陶板名画」だけを展示する当館は1998年、四国と淡路島を結ぶ大鳴門橋のたもとに開館しました。鑑賞ルート4キロの広大な館内に古代の壁画から現代絵画まで千点以上を原寸大で再現、展示しています。

 陶板名画を製作するのは、は滋賀県・信楽に工場がある大塚オーミ陶業。大塚グループ創業の地、徳島県・鳴門の白砂を使った建築用タイルの製造から、1973年の石油ショックを機に美術品制作に転換しました。陶板は経年劣化が少なく、2千年は色あせないといわれています。

 製作は絵画の著作権者や所有者から複製・展示の許諾を得ることから始まります。現地で実物を撮影、細かい傷や凹凸も調べ上げた後、画像を解析して4色分解し、特殊な転写シートに印刷。これを陶板に貼って千度以上で焼成します。さらに手作業で作者の筆遣いを再現して再度焼成、監修者らの検品を経て展示に至ります。

 ミケランジェロの傑作が彩るバチカンの礼拝堂を丸ごと再現した「システィーナ・ホール」は見どころの一つ。正面壁画「最後の審判」には60×280センチ、厚さ2センチの陶板が110枚使われました。開館当初、天井画は中央の「創世記」の9場面だけでしたが、技術の向上で縁の曲面部分の再現にも成功しました。

(聞き手・片野美羽)


 《大塚国際美術館》 徳島県鳴門市鳴門町土佐泊浦福池65の1。[前]9時半~[後]5時(入館券販売は4時まで)。3300円。8月中を除く[月]([祝]の場合は翌日)休み。2点は常設展示。

 大塚国際美術館|徳島県鳴門市にある陶板名画美術館
 https://o-museum.or.jp/

とみざわ きょうこ

広報担当・学芸員 富澤京子 さん

 とみざわ・きょうこ 2014年から勤務。開館25周年の今年は様々なイベントを企画している。

(2023年7月11日、朝日新聞マリオン欄掲載記事から。記事・画像の無断転載・複製を禁じます。商品価格、営業時間など、すべての情報は掲載時点のものです。ご利用の際は改めてご確認ください)