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萩・下関をめぐる欲張り旅

グルメも歴史も!

多くの人でにぎわう、週末の唐戸市場
多くの人でにぎわう、週末の唐戸市場
多くの人でにぎわう、週末の唐戸市場 唐戸市場前に立つ、昔ながらの伝統的な「フグの袋競り」を再現した像。現在も下関市の南風泊(はえどまり)市場でのみ行われている方法だ 「元祖瓦そば たかせ」の瓦そば。香ばしさと美しい色合いが食欲をそそる 松陰門下で初代首相の伊藤博文。旧宅付近には、萩焼で作られたほぼ等身大の伊藤の像が立つ。山口県は伊藤を含め全国最多の計8人の総理大臣が輩出している 松下村塾の室内には、著名な門下生の肖像写真が展示されている 萩市内には維新の志士の銅像が多く立つ。江戸時代に参勤交代のルートだった御成道(おなりみち)沿いの商店街にも、小さな像が並ぶ

山口県といえば、フグや長州藩の史跡、関門海峡は外せない。でもそれだけじゃないんです。グルメと歴史が堪能できる萩市と下関市をめぐり、定番コースから最新スポットまで、様々な魅力を探ってきました。

取材/安達麻里子

◆関門の台所、唐戸市場

山口宇部空港へは、羽田から空路で2時間弱。空港からリムジンバスに乗って1時間30分ほどで、下関市にある「関門の台所」、唐戸市場(からといちば)に到着する。

本州の西端に位置する下関市は、日本海、瀬戸内海、東シナ海などの好漁場に囲まれ、西日本の漁業の拠点として発展してきた。唐戸市場は、1933年に開場した魚菜市場が原点で、2001年に現在地に移転。フグはもちろん、タイやハマチの市場としても有名だ。仲卸や海産物加工業者による販売だけでなく、地元の漁師が漁獲した魚、地元農家が収穫した農産物を、自分たちで販売するという「直売所」の役割も併せ持つのが特徴だ。現在、90の業者が店舗に入居している。

唐戸市場のすし

トレイに載せられた握りずし

市場に足を踏み入れると、週末ということもあり、家族連れや若いカップル、観光客でにぎわっていた。「鮮魚コーナー」や「仲卸売場コーナー」の店先にずらりと並ぶ握りずしが圧巻の光景。ちょうど、金・土・日・祝に各店が新鮮な魚介を寿司や丼で提供する「活きいき馬関街(ばかんがい)」が開催中で、客はトレーを手に、フグやノドグロの握り、白子の軍艦巻きなどを思い思いに選んでいた。購入した品は屋外のウッドデッキなどで食べられる。※唐戸市場は新型コロナウイルスの影響で、3月中は、日曜・祝日営業と「活きいき馬関街」を中止している。

市場から徒歩5分ほど、壇ノ浦の戦いで平家一門と入水した安徳天皇をまつる赤間神宮の前に、「AKAMA布久亭(ふくてい)」が立つ。本格的にフグを食することができる日本料理店で、昼5500円、夜6600円からのフグコースのほか、10~3月は、下関漁港が水揚げ量日本一を誇るアンコウ料理も楽しめる。海に面した立地で、関門海峡の景観を楽しみながら食事ができる、ぜいたくな空間だ。

瓦そば たかせ

山口に来たら「瓦そば」は是非食べておきたい。「元祖瓦そば たかせ」は、下関市と北九州市門司区に計5店舗を展開する、瓦そば発祥の店。西南戦争で熊本城を囲む旧薩摩藩の士族が瓦を用いて野草や肉などを焼いていたという古老の話にヒントを得た創業者が、1962年に始めたものだ。

山本幸也さん

京都の石臼挽き宇治抹茶と北海道のそば粉を練り合わせた茶そばの上には、牛肉、錦糸(きんし)卵、ネギ、のり、レモン、紅葉おろし。瓦に接した部分のそばはパリッと香ばしく焼けて、秘伝のつゆにつけて食べると香ばしさが口いっぱいに広がる。

地元の人は週1回くらいの頻度で家庭でも作って食べるそうで、たかせ統括部長の山本幸也さん=写真=も「この辺の人はカレーと同じような感覚で食べている」と話すほど、地域に根付いた食だ。

 

 

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